——2008年某月某日

開発者A:「お店で売ってるものを、そのまま出荷すると利益が出ます」
開発者B:「ハハハ、そんな馬鹿なこと…、ゲェーッなっていたァー!?」

皆さん、お元気ですか? 耕してますか?

はじめまして、こんにちは。企画の登尾です。
今回はゲーム開発の仕事のひとつ、バランス調整について一筆したためさせていただきます。
バランス調整ってなんだか楽しそう……。そんな風に考えていた時期が、僕にもありました。

はじめの一歩

僕の調整担当範囲は、主に鉱山や洞窟に配置される岩やキノコの出現率、および鉱石類の出荷価格、
全ショップの商品販売価格でした。全て数値による管理です。僕の手に掛かれば、おにぎりを
50万Gで売るなどといったことも可能だったわけです。しませんでしたが。

本作「わくわくアニマルマーチ」は「やすらぎの樹」の続編です。アイテムや家具など、
前作から引き継いだ要素を多数含むため、共通の要素については、はじめに前作の値をそのまま入力し、
新規追加要素はディレクターの決めた方針に沿って値を決めていきました。

あらかた値を入れ終わったところで、ひとつの疑問が湧きあがってきます。
このゲーム、簡単なのか? 難しいのか?

出口の無い迷宮

難易度の解釈というのは人それぞれです。ある人は簡単に感じたとしても別の人には難しく思える
ということも。またゲームのボリュームも決して小さくないため、全体のバランスを見渡した
感想がいきなり書けるはずもなく、テストプレイ担当の方には、プレイした箇所別にレポートを
頂きました。僕自身を含む調整担当者は、それらレポートを読んでは担当箇所のデータを適切と
思える値に変えていきます。こればかりは丁寧かつ慎重に一つ一つ手を入れるしかないのです。

出口が無いなら、作ればいいじゃない

数週間に渡る調整の中で、脳内に響く何とかトワネットのささやきから導き出された答えは、
「難易度の感想が偏らないようにする」というものでした。ゲーム開発に携わる者といえど、
スタッフ全員がプレイヤーとしてゲームが上手いわけではありません。テストプレイを重ねた
猛者には易しく、始めたばかりの初心者にはやや難しいと思われるようなバランスを指標として
飽くなき探求の日々を続けます。

そして開発末期、いつ終わるとも知れなかった調整作業は、めでたく終焉を迎えることが出来ました。

計算の果てに

バランス調整、それはやりがいがある一方で、一部の隙も許されぬ危険な綱渡りなのでした。
値を更新するタイミング如何によっては、冒頭の2行のように、テストプレイヤーとの心温まる
やり取りも交わされる素敵時空。プレイされる皆様におかれましては、ショップでの買い物や
作物を出荷する際に、ほんのちょっぴりでも、こうした開発の悲喜こもごもに思いを馳せて頂ければ
スタッフの魂も浮かばれようというものです。(死んでない)