こんにちは!『わくアニ』のキャラクター人気投票が終了しましたね。
みなさん投票していただけましたか!?
今日は「シナリオ物語」です。今作のメインシナリオは、主人公が5つの鐘を鳴らして神さまを復活させ女神の樹の元気を取り戻す話と、主人公の子供が成長した後にワッフル島へ旅立つ話を作っています。
今回は、このシナリオを作った2人の対談という形で制作秘話をお送りします。
で、ですね、作ったスタッフの一人は私(以下M)です。もう一人は、『やすら樹』のディレクター(以下I氏)ですね。じゃあ、ちょっと長いですけど、シナリオ秘話です、どうぞー。
『わくアニ』シナリオのコンセプトは?
M:「シナリオ考え始めるときに、何かコンセプトとか最初から決まってたこととかありましたっけ?」
I氏:「『やすら樹』キャラ続投」ってことと「神さま登場」ってことが最初から決まってたじゃないですか。で、『やすら樹』からの流れを組んだ上で不自然なくつなげるっていうことが必要になってきたんですね。」
M:「あー 神さま、それと魔女さまと魔法使い。それから女神も続投だということで、悩みの種がたくさんでしたね。」
I氏:「実は今作は、「やすらぎの樹より古い時代の物語」として、最後に『やすら樹』の始まりの土地である「ワッフル島」に旅立つストーリーになってるんですよね。だから最初に「ワッフル島に女神の苗もって旅立つ」ってことだけ決まってたんです。だからパラレルだけどつながっているの。」
『わくアニ』シナリオの見どころは?
M:「今回、シナリオで一番見せたかった点はどこでしょうね。」
I氏:「やりたかったことは...バラバラなものがひとつになっていく、っていうことです。 最初は鐘じゃなくてもよかったんだけど、いろいろ楽器を考えていったら最終的に鐘になったんですよね。オーケストラでもそうだけど、すべての音が集まっていってひとつになって鳴るとうれしいよね。だからそれを作りたかった。」
M:「5つの鐘。これがイベントに音となって入ってきたのはだいぶ後半でしたもんね。それから音にあわせてイベントを組むのが大変でしたね。」
I氏:「音の担当さんにかなり無茶を言ったんですよ。「全体としてもきれいに壮大に聴かせたいんだけど、単音でも聴けるようにしてくれって」でも音作りの担当さんが意を汲んでくれてなんとかなった。そこは本当によかったと思います。」
シナリオの工夫点は?
I氏:「フィンという存在かな。最初に求めていたのは、主人公のパートナーがほしかったということ。牧場物語の性質上、遊び方がいろいろあるけど、その説明が長いとイヤになってしまうので、都合のいいときになんでも教えてくれるキャラを作ろうと。」
M:「で、なじみの深いコロボックルで6人目の生まれたての子供はどうかと。名前は最初、たくさん候補がありましたね。頭文字Fで「フィオ」とか「フィフィ」とか。」
I氏:「うん、フィンが作られたことで、だいぶストーリーもだいぶ進めやすくなったと思います。」
M:「最初はフィンが子供だっていうことで、かなり赤ちゃんみたいな性格にしたんですよ。 言葉もたどたどしくて。でもそうしたらナビゲーターとしては致命的につとまらなくなっちゃって(笑)最終的に、いちばん快活で偉そうな子になっちゃいました(笑)」
I氏:「そうそう!(笑)なんで赤ん坊のくせにお前が一番知ってるんだ!とかいう矛盾が、ね。」
I氏:「でもまあ、狙いとしては、主人公が独身時代でもプレイが寂しくならないようにっていうのがあったから成功しているんじゃないかな。」
M:「二人は親友 みたいなスタンスでシナリオ書きましたよ。」
シナリオの苦労した点は?
I氏:「ゲーム上の遊び部分と、シナリオの結びつけかな、たとえば...コロンの鐘のシナリオが始まるには出荷額がいくらになってないとダメ、みたいな。」
M:「ああ、まったく関わらなくてもダメだし、関わりすぎても自由度が減るし、そこのバランスは難しいですよね。私は、それぞれの鐘を鳴らすストーリーを平行に進めるようにこだわったことと、魔女さま魔法使いのシナリオへの関わり方かですかねえ。」
I氏:「あー魔女と魔法使いはこまったよねえ。」
M:「ユーザーが好きな進め方でどの鐘からでも自由に鳴らせるってこだわりたかったから、ストーリーが絡まないようにいろんなフォローが必要になって、それこそバランスが難しくなりましたよね。」
I氏:「だから、女神さまに聞きにいくとそれぞれの進行にあった話をしてくれるし、フィンもヘルプでサポートするようになった。最初はそれらも無かったんだけど、制作中のお試しプレイで、「ストーリーがわからない」っていう話が思った以上に来て、しかもプログラマーからたくさん来て(笑)で、だいぶ後半にあわてて女神様にヘルプをさせることになった。」
M:「それ関連で巻き込まれたのが日常会話担当さんですね。シナリオのヒントも言わせてくれとか後半で無茶言ってやってもらったりして。」
I氏:「でもプレイしてみると、良いタイミングで実際言ってくれないし、台詞さし込むところを間違えててぜんぜん違うこと言ったりして(笑)むちゃくちゃになって大変でしたね。」
M:「いろんな人にたくさん迷惑かけましたねー。」
I氏:「ストーリーがわからなくならない、でも簡単すぎない、これが一番大変でした。」
M:「あとずっと困ってたのが、女神が困っているというコンセプトで主人公がそれを助けてあげるその先に、神を復活させても彼の出番がない!ってことでしたかね。」
I氏:「そうだ!(笑)最初のストーリーは「神が復活し、女神の樹が元気を取り戻す」で「その苗木を持っていこう」っていう流れで、女神の樹復活直後はほぼストーリー終了だったんですよ。その神さまの件は、君が最初から何度もツッコんでいたよね。神はやることなかったねー。ラスボス登場!だけどそれがエンディング...みたいな。」
M:「それがあって、子供旅立ちの三つの試練を、彼にまかせることになったんですよね。 とにかく、神さま必要ないなあ…って何度も呟いては半年くらいストーリーの建て直しを考えてましたよ。」
I氏:「まあ、キャラとしてもあんな横柄な人になるとはおもわなかったですけどね(笑)」
M:「いやあ、でも成功じゃないですか?婿キャラとしても今までにいない唯我独尊的なタイプで。」
I氏:「あとは...ベンの鐘イベントの消化不良、が悔やまれるかな?」
M:「あははは...言っちゃっていいんですか?」
I氏:「あ、詳しくは言えないけど、消化不良とだけ。」
M:「ええ、そうですね(笑)だいぶ迷走と試行錯誤を重ねて...そしてああなりましたね。」
魔女さまと魔法使い
I氏:「ストーリーを平行にするといえば、最初からエッジの紫の鐘以外は平行にやるって決まってたんだよね。...ひとつ減ったけど(笑)」
M:「そうです、減ったのはなんででしたっけ」
I氏:「あー魔女と魔法使いの絡みですたぶん。早く登場しすぎてもダメだし。」
M:「ただ、魔女がカエルになるっていうのは、初期から決まってましたよね。魔女ガエルがどんな容姿かってのもだいぶ論争した気がします。私としては、帽子かぶって二足歩行してる人間味ある感じがよかったんですけどね。」
I氏:「そうね、ただ僕の最初の狙いとしては、あの魔女宅エリアにたっくさんの普通のカエルがいて、その中から魔女を見つけ出すみたいなのをやりたかったんですよね。」
M:「ウォーリーを探せ!みたいな?」
I氏:「そうそうそう、で、アイテムを使って元に戻そうとして「こいつは普通のカエルだ!じゃあどれだ」みたいなのをなんどもさせたかったの。カエルがたくさんいる中で、主人公とフィンが苦労する、みたいな。でもいろいろと無理で今のスタイルになったんです。明らかに怪しいカエルに。」
M:「そうそう!そうですよね。出会った瞬間に「...お前だな」ってなりますもんね(笑)」
I氏:「そうですね、でも、初めて魔女に会うあたりの演出とか僕は気に入ってるので、今のスタイルもいいかなと。結果としては、いいところに落とし込めたかなとは思ってます。」
実際できあがってみて、出来はどうでしたか?
I氏:「やすら樹ではシンプルなお話を作りたかったんだけど、わくアニではシンプルの中にもう少し深みを増して、年齢層が少し上の人でも楽しめるようにしたかったです。それができていればいいかなあと思います。」
M:「今回のストーリー攻略には、牧場物語の酪農や釣りなどのすべての作業を必要とさせました。それがうまくいったのかどうかが、心配です。」
I氏:「それは、うん、神復活までは好きな作業だけやってもあとは店で買って進められるけど、それ以降は作業も恋愛もしなきゃ進めないように作ったじゃないですか。それは、神復活でいったん話を終了させているという形では正解ではないかと。」
M:「あー、神復活後はわざとレベルを高くして、でも楽しんでもらえる範囲で...っていう。」
I氏:「そうそう。」
M:「でも...神復活後に、神さまにワッフル島の話で呼び出される条件に「出荷額いくら以上」っていう条件があるんですけど、ユーザーが予想以上にその頃の出荷額が高いみたいで びっくりですよ。なんなくその敷居をクリアしちゃってますよ。」
I氏:「たしかに(笑)、わくアニは40時間くらいでクリアを目指してて、でも実際はとんでもないっていう。プレイ時間3桁って、超大作RPG?」
M:「楽しんでいただけてるってことですよね。じゃあ、最後にユーザーの方に一言あればお願いします。」
I氏:「わくわくアニマルマーチ、長く遊べる作品ですので、ゆっくり遊んでくださいね。」
というわけで、長い雑談にお付き合いいただきありがとうございます!
そうそう、私が掲載する制作秘話は来週で最後となります。では、次回もお楽しみに!